五具足、立花、華道
法要などで仏像・仏堂を飾る5つの器(1つの「香炉」、1対の「花瓶(けびょう)」、1対の「燭台(しょくだい)」)は、五具足(ごぐそく)と呼ばれます。日本で花を活けて飾る(荘る)文化は、仏前荘厳が始まりとされ、華道へと発展したとされています。立花(立華)は中心になる花木をまっすぐに立てる華道の形式の一つで、仏前で飾られる様式が基本となっています。
西洋、東洋を問わず花は生活に取り入れられてきましたが、茶道においては四季折々の生きた花々を「野にあるように」取り入れるものとされています。
花入(はないれ)
茶席に飾る花を活ける器(花器(花生け))のことを、茶の湯の世界では「花入(はないれ)」と呼びます。
茶事にて、懐石の後、後座が始まるまで客が一度席を立ち、露地の腰掛けに出る茶事をことを「中立ち(なかだち)」と言います。中立ちのある茶事は正式な茶事とされ、初座(しょざ)の床の間に書画が掛けられるのに対し、後座(ござ)では花が飾られます。
中立ちを略した茶事や大寄せの茶会では、床の間に掛物と花入が共に飾られることもあり、「諸荘り(もろかざり)」といいます。諸荘りでは床の形状や掛物の種類によって花入の位置に、花入の位によって使用する薄板にルールがあります。
花入の種類
中釘や床柱の花釘に掛ける「掛花入」、床の天井や等から吊るす「釣花入」、床に置く「置花入」があります。
床が畳敷きの場合は置花入の下に薄板を敷き、籠の場合は薄板を敷きません。
板床の場合は直接花入を飾りつけ、敷板は使用しません。
花入は飾り方によって「掛花入」「置花入」「釣花入」に、材質によって「真」「行」「草」に分けられます。
真… 胡銅・唐銅・唐物青磁など
行… 釉薬のかかった和物の陶磁器など
草… 竹・籠・瓢(ふくべ)・釉薬をつけていない陶磁器など
とされ、茶事や掛け軸、他の道具との取り合わせなどにより使用する花器を選びます。
花入の材質・模様
花入の材質は大変多く、銅などの金属器、陶器、磁器、木、竹、籠、瓢などがあり、同じ素材でも形状や意匠が多彩です。
遊環の有無、口造りや耳、焼き物では釉薬や模様、絵など、目でも様々な模様を楽しめます。茶道具としての花入は新しい発想も生み出す土壌となりました。
竹の花入の創作や籠、瓢(ふくべ)など、様々な趣向を取り入れた時代ならではの展開を見せ、見立て道具としてのおもしろさを鑑賞することも醍醐味といえます。