敷板とは
敷板とは、風炉の下に敷き風炉を乗せる板のことです。風炉の熱気が畳へ伝わるのを防ぐ他、風炉を安定させる役割があります。
元々風炉は台子の上に置かれていました。時代と共に釜の形に合わせた様々な風炉がつくられ、鉄や焼物などの素材も用いられるようになり、風炉は畳の上で使われるようになってから風炉を乗せる敷板が必要とされ、使用するようになりました。
流儀や好みによって色々な敷板があり、陶磁器製の敷瓦などもあります。
敷板は「真塗」が正式とされ、唐銅風炉だけに用いられます。黒掻合(くろかきあわせ)板は多くの風炉に使用され、土風炉、唐銅風炉、切掛風炉、瓶掛などに用いられます。
畳の上での使い方
一般的に、風炉をのせるときは敷板の中央に乗せますが、茶席や点前によって敷板を据える位置を変えます。
(作法は流派により異なりますので、裏千家の作法を例に紹介します。)
■ 大板の風炉の位置
【中置】
畳の中央・貴人畳の縁から16目あけて据えます。常据(じょうずえ- 風炉などを定まった位置に置く)の場合は畳のサイズにより、勝手付より1~3目ほど、貴人畳(四畳半茶席の床前の座・畳)の縁から16目あけたところに据えます。
【丸畳】
畳の中央・貴人畳の縁から16目あけて据えます。
小間据えの場合は、茶道口で一礼し一歩踏み込んだ畳に風炉を据え、畳の敷き合わせから六寸あけたところに据えます。
■ 小板の風炉の位置
【本勝手 丸畳】
貴人畳の縁より16目、勝手付より5~7目ほどあけたところの据え、畳の大きさや用いる棚の大きさにより調整します。
(丸畳:台目畳(一畳の四分の三の長さ)や半畳に対し、一畳の広さをもつ畳)
【逆勝手 丸畳】
本勝手の逆の位置に据えます。
【広間 小間据】
畳の敷き合わせから六寸(12目)のところに据えます。(大寄せの茶会などでは小間据えにすることがあります。)
【中置】
10月の名残りの時期に、畳の中央、貴人畳の縁より16目あけたところに据えます。
【台目畳】
勝手つきからは5~7目、向こう側の壁から四寸あけたところに据えます。
敷板の種類
敷板は「大板」「小板」「丸板」などに分類され、合わせる風炉の種類や点前によって荒目板、鉋目板、真塗、掻合などを使い分けます。また、流儀や好みによって色々な敷板があり、陶磁器製の敷瓦などもあります。
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【大板(おおいた)】
一尺四寸(約42.4cm)四方の板で、主に中置(風炉から炉へ変わる最後の名残の時期)のときに用います。新塗(しんぬり)、掻合わせ塗、粗目などがあります。
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【小板(こいた)】
寸法には大小があり、風炉の大きさによって使い分けます。大きいものは小さい風炉に、小さいものは大きい風炉に用います。また、新塗は唐銅風炉、掻合わせ塗は唐銅と土風炉の両方に用います。
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【荒目板(あらめいた)】
小板と同じ大きさで、横段の鉋目の入れ方が粗いものから細かくなり、土風炉に使用する真塗の板です。使うときは、荒い目の方を手前にし、向こうに向かって細くなる向きに置きます。
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【円板(まるいた)】
真塗と掻合わせ塗があります。四方風炉、琉球風炉など、四角い形の風炉に使います。
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【敷瓦(しきがわら)】
瓦板ともいい、鉄風炉の下に敷く陶磁製の敷板です。織部焼の他、楽焼、備前焼、志野焼、信楽焼、丹波焼、などがあり、古瓦などを使用することもあります。
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【鉋目板】
裏千家十四世 淡々斎(たんたんさい)が切掛風炉用に好んだもの。鉋目三つを手前にして用い、土風炉にも使用されます。
他に玄々斎が常盤風炉に合わせて好んだ常磐板があります。桐材で青漆が塗られ、木口には朱で山道の彫りが意匠されたものです。