掛け軸の表装には格や種類があり、真の形式の「裱褙(ひょうほえ)」、行の形式の「幢褙(どうほえ)」、草の形式の「輪褙(りんほえ)」の3つに分けられます。
真、行、草という名前は書道に由来し、「真」は「楷書」、「行」は「行書」、「草」は「草書」を表しています。
真が最も格式が高く、行、草と続きます。
掛軸の他、額装や屏風、襖、華道等の仕立てにも真、行、草という格式の違いがありますが、掛軸ではさらに真、行、草と分けられるため、
「裱褙(ひょうほえ)」の真、行、草
「幢褙(どうほえ)」の真、行、草
「輪褙(りんほえ)」の行、草 (※輪褙に真はありません。)
の8種類となります。
【真】「裱褙(ひょうほえ)」
上下が分かれておらず、中廻しによって本紙を囲んでおり、総縁(そうべり)になっています。仏画、「南無阿弥陀仏」等の名号、阿弥陀尊像、頂相画、観音図、曼荼羅等、佛事に関連する画像などを仕立てる時に多く使われています。
【行】「幢褙(どうほえ)」
総縁(そうべり)が天地に分けられており、座敷表具、大和表具とも称されます。古筆や墨跡、宸翰(しんかん-天皇自筆の文章)、絵画などに用いられます。
最も一般的な仕立ての形式です。
【草】「輪褙(りんほえ)」
本紙の左右の中廻し部分が細く、茶人の書画や大徳寺の僧侶の墨蹟の表具に多く使用されています。茶道に関係する行事での仕立てによく見られ、茶掛表具とも称されています。