脇息
脇息(きゅうそく)は、座った際に脇に置き、肘をかけ、身体をもたれさせて安息するための道具です。肘掛(ひじかけ)や几(おしまずき)とも呼ばれます。現在では時代劇や囲碁・将棋の対局で見られますね。
奈良時代では挟軾(きょうしょく)と呼ばれ、正倉院に資料が遺されておりますが、それは膝の前に置き,肘をついて寄りかかるものでした。脇息と呼ばれるようになるのは平安時代以降、脇に置くようになるのは近世以降とされます。
材質は木製や紫壇(したん)、竹など。形も湾曲したものもあり、また女性用では寄懸り(よりかかり)という引出しが付いた箱型の脇息もありました。
銅鏡と鏡台
人々の生活品の一つである鏡。特に女性には欠かせない道具としてあげられるのではないでしょうか。
鏡は、中国で使用されていた銅鏡(どうきょう)から伝わります。現在のガラス製になったのは明治時代あたりから。当初は呪術や祭祀用として使われていましたが、平安時代から貴族の間で化粧をする習慣が始まり使用されるようになりました。
また鏡台(きょうだい)もこの頃より現れます。鏡を立てかけるくらいの簡素な作りから、化粧道具が入る箱、引出しなどが付き、現在のような形になるのは室町時代になってからとされます。さらに鏡が台に固定され、椅子も付属した「ドレッサー」は昭和に入ってから普及しました。
西洋風な作りや意匠を凝らしたものもありますが、身だしなみを整えるという目的は今も昔も同じです。
銅製置物
「火の用心、マッチ一本火事の元~」
と聞こえてきそうなこの表情。
今にも動き出しそうですね。
このおじさんがおそらく発している「火の用心」は江戸時代から使われていた言葉とされます。
現在もたびたび見られる夜回りもその時代からあった模様。
掛け声も「戸締り用心、火の用心」や「火の用心、タバコの吸い殻火事の元」など時代や地域により変わっているようです。
徐々に寒さが増すこの時期、火の始末も心がけたいですね。
櫛と簪
芸妓や舞妓がする髪飾り以外に、一般ではなかなか見られなくなった櫛(くし)と簪(かんざし)。つい100年ほど前までは女性の身だしなみの一部として、またはおしゃれアイテムとして身に付けていました。
現在もその類はありますが、少し形や姿は変化しています。古くから用いられていましたが、飾りものだけではなく祈祷や信仰などの道具でもあったとされます。
それまで垂らしていた女性の髪型は江戸時代になり、結い上げに変わります。その為、櫛や簪の需要性は高くなっていきました。
漆(うるし)やべっ甲などの素材に蒔絵や青貝を施した装飾性豊かな姿になり、髪飾りとして女性の魅力の一つになっていったのです。
金蒔絵の重箱
現在の家庭ではお正月や運動会などのハレの日に登場することも少なくなっているのではないでしょうか?
重箱は主食以外でもお菓子などを入れて客人を迎え、さりげなくお出しするという活用法もあります。
素材は主に木製で漆(うるし)を塗っていますので、耐久性や防腐効果も期待できる実は万能道具だったりします。外側には蒔絵(まきえ)などが施されたさまざま文様があり、目でも楽しませてくれます。少々格式高いイメージの重箱ですが、活用次第では普段使いでも用いることのできる道具です。
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蒔絵 :
漆工芸の一種
器の表面に漆で文様を描き、金属粉(金や銀など)や色粉を蒔きつけて付着させる