「かね」の花入
かねの花入の素材は「唐銅」が多く、砂張、金紫銅(きんしどう)、青銅などもあります。
唐銅の花入は中国の漢、周の時代から観賞用に製作されていましたが、現在では宋や元以後のものが多く使用されています。丸みがある優美な形で、地紋や意匠を鑑賞します。
陶磁器で作られる花入は、唐銅でつくられていた花入の模倣です。時代とともに、さまざまな素材や形でつくられるようになりました。
「かね」の花入の形
- 鶴首(つるくび)… 鶴の首のように咽喉(いんこう)が長い花入。
- 桃底(ももそこ)… 耳や高台がない細口で無紋の花入。桃の身のように畳に触れる底部分が丸く内側にくぼんだもの。
- 曽呂利(ぞろり)… 下部が少し膨らんでいる細長い咽喉(いんこう)で、輪高台(わこうだい)があるもの。
- 角木(つのぎ)… 口が細く首が長く耳がない、鶴首あるいは細口といわれるもの。胴周りが「く」の字形に張り、底が小さい。角木割りの略称で、鹿の角でつくった鏑形(かぶらがた)の鏃(やじり)に似ているところからの名称。
- 下蕪(しもかぶら)… 大きく膨らみ張った胴に、長い頸(くび)のついた形です。下蕪の系列に入るものとしては「筍」「管耳」「細口」「銀杏口」「桔梗口」「柑子口」などの区別がされています。
- 把綿(たばねわた)… 細長い円形。綿を胴(中央)でたばねたように締まり、帯があるもの。
- 杵(きね)… 把綿より太く、胴にくびれのある杵形のもの。
- 爵(しゃく)… 中国古代に青銅でつくられた花入れ。足元に火を入れて酒を温める三本足の酒器を模倣したもの。
- 薄端(うすばた)… 瓶(かめ)形などの胴の上に皿形の広口がついたもの。広口の部分と胴は取り外しができます。末広とも呼ばれます。
- 経筒(きょうづつ)… 経筒(きょうづつ)とは仏教経典の紙本(しほん)写経(経巻)を納める筒形の容器で土中や塔の基壇に埋めます。花入れの経筒はそれらを転用したものです。基本的には円筒形で共蓋が付いています。
- 月(つき)… 釣花入れの一種。月形で、花鎖(はなぐさり)で釣るようになっています。
- 舟(ふね)… 舟形をした釣花入れの一種。
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