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オールドノリタケ・アールデコ様式

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オールドノリタケ・アールデコ様式

アールデコは1920年代から1940年頃までにフランスを中心として、ヨーロッパからアメリカ(特にニューヨーク)で流行した装飾デザインです。直線的で合理的なデザインと幾何学模様、そして原色の対比などが特徴的です。

ノリタケのアールデコにはラスター彩で表現されたきらびやかな製品も多く見られ、食器類よりも、意匠を凝らした装飾品に多く使われています。さらに分類すると、A.人物、B.動物、C.花・植物・果物、D.風景、E.幾何学模様などがあります。作品の種類も、平面に描いたものの他に、立体的に作られた陶製人形や大型の花瓶などの置物があり、オールドノリタケを含むノリタケの製品にも、それらの形や模様を組み合わせた意匠を見ることが出来ます。

2つの大戦の間に流行ったため、「大戦間様式」と呼ばれることがあります。また、1925年(パリ万博の翌年)、万博でのアールデコ様式の展示品の多くがアメリカの博物館・美術館で展示され、アメリカの主要な百貨店でアールデコのデザインの展示会が開催されるなど、パリ万博から世界に広まったことで「1925様式」などとも呼ばれます。
アールデコのデザインはオールドノリタケを始めとした食器類だけでなく、建築、家具、壁紙、絵画、宝飾品、ファッションなど、さまざまな分野で流行しました。

オールドノリタケ・アールデコ様式とラスター彩

ラスター(luster)は落ち着いた輝きという意味です。
陶器の世界では、焼成した白い錫の鉛釉の上に、銅や銀などの酸化物で文様を描いて、低火度還元焔焼成で金彩に似た輝きを持たせる技法で、9世紀から14世紀のイスラム陶器で多様されました。

一般的なラスター彩に使われるラスター(光沢)には、ラスター釉(釉薬)とラスター彩(顔料)がありますが、オールドノリタケのアールデコに使われたラスターは後者のラスター彩です。
このラスター彩は金属や貴金属を濃塩酸と濃硝酸の溶液で溶解し、さらに硫化バルサムと化合させることにより樹脂酸金属化合物を生成し、絵付の際の塗りやすさを高めるためにロジン(松脂)を添加した顔料です。このラスター彩を施し700℃前後の低温で焼成すると、釉の表面に溶着した金属・貴金属の薄い皮膜ができます。この皮膜が光を屈折させて金属的や真珠のような光沢を生み出します。

このラスター彩は酸、アルカリ、洗剤、熱湯などの高温に非常に弱い性質を持っています。これらを使用したり作用させると剥げやすいので繊細に扱う必要があります。そのためラスター彩のオールドノリタケは食器には適さず、主に花瓶や置物などの装飾品に使用されています。

オールドノリタケのアールデコ製品の始まり

オールドノリタケのアールデコ製品はニューヨークのモリムラブラザースが雇ったイギリス人デザイナーであるシリル・リーがつくり始め、パリ万博の公式モチーフを基に、多くの装飾用のファンシーウェアを製作しました。それらはそれぞれに特長を持ち素晴らしいものでしたが、特に珍重されたのがラスター彩を施されたものでした。

当時のアメリカでは自動車、輝きを放つ金属の家具やランプ、装飾品などが流行しはじめ「きらびやかなもの」がいたる所で見られました。
ラスター彩は当時のアメリカでは輝きと豪華さの象徴でもあり、オールドノリタケのラスター彩には優雅さと煌びやかさ、そして気高さを印象付けるものとして、アメリカの婦人たちを魅了していました。さらに、オールドノリタケの色彩は明るく、鮮烈で、斬新な表現も魅力的でした。

1. ノリタケ・アールデコのモチーフ

オールドノリタケのアールデコ製品は5つのグループに分類できます。

A.人物

オールドノリタケの人物図案には「平面に人物像を描いたもの」「立体形状で人物を表現したもの」があり、ベティーブーのスナックセット(平面)、ソルトペパー(立体)などがよく知られています。

B.動物

動物をモチーフにした製品にも平面的なもの、立体的なものがあります。身近にいる犬や猫の他、象、リス、孔雀などが描かれています。

C.花と植物

オールドノリタケの花柄や植物のデザインはアールデコだけでなく、アールヌーボー様式でもよく描かれています。オールドノリタケのアールデコには日本の着物のデザインをイメージさせるものや幾何学模様と組み合わされたもの、ラスター彩で装飾されたフルーツバスケットなどがあります。

D.風景

日本の伝統を取り入れたもの、池のほとりに小さな家を描いた洋風画調のもの、中国風のものなどがあり、風景画はオールドノリタケの中でも人気のあるデザインで す。ラスター彩で装飾された風景画のティーセットなどは、お茶の時間を優雅なものにしてくれる逸品です。

E.幾何学模様

幾何学模様のデザインはオールドノリタケの中では種類や数量も少なく、コレクターの間では希少価値が高いと言われています。立体派の様式、ドイツのバウハウス(※2)のアールデコ様式の作品も見られ、豊かな色彩と模様が幻想的、抽象的な印象を与えます。

※2)バウハウス
1919年に設立された工芸・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校と、その流れを汲む芸術と芸術作品。

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