濃茶と薄茶の違い
茶道では濃茶と薄茶を使い分けます。濃茶はたくさんの抹茶を使って練るため、どろっとしたお茶になります。「おこい」と呼ばれています。
薄茶は少なめの抹茶でしゃばしゃばと点てるイメージです。茶道を習っていない方には薄茶の方が馴染みがあると思います。一般的には「おうす」と呼ばれます。
点前に使用するお茶碗も濃茶と薄茶で使い分けます。
濃茶には柄が入っていない格式が高いとされている茶碗を使用します。(楽焼の楽茶碗など)。
一方、薄茶には薄手の茶碗で美しい絵柄が入っているものを使い、、季節に合わせてさまざまな茶碗を楽しむことができます。夏にはガラスの茶碗で涼しさや清々しさを演出したり、冬には冷めにくい深めの筒茶碗を使用するなど、茶道の心遣いを感じることができます。
初心者は薄茶の作法から習います
濃茶と薄茶では、抹茶を提供するための作法(点て方)も違い、一般的に設けられているお茶席では薄茶が点てられます。
入門したときにも最初に習うのは薄茶のお手前で、薄茶のお手前にもたくさんの種類があります。
濃茶の点前は格式が高いとされているため、上級になるにつれ、濃茶の点前を習います。
薄茶はひとりで飲みきりますが、濃茶は2~3人で回し飲みをするなど、点前によってさまざまな飲み方があるのも茶道のおもしろさのひとつです。
濃茶(こいちゃ)と薄茶(うすちゃ)は茶事の一部
濃茶と薄茶は「茶事(ちゃじ)」の一場面です。「茶事」とは正式な茶会のことで、フルコースの茶会をイメージして下さい。
薄茶も濃茶も正式な「茶事」の一部(またはお稽古)で、茶道のお茶会やお稽古は、茶事の一部である薄茶や濃茶の作法だけを切り取っています。
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濃茶と薄茶 抹茶の種類
抹茶の種類
濃茶用の抹茶とお薄茶用の抹茶は製法に違いはありません。ただし、お茶そのものの品質の良し悪しは、濃茶で点てる方が顕著に分かります。そのため、濃茶として使われる抹茶には苦みや渋みの強い下級品ではなく、品質が高く、上品な香りとまろやかな味の上級品を選びます。
濃茶は苦いイメージがありますが、上級品を選ぶと、甘味と抹茶の旨味が強い美味しいお茶を愉しむことができます。上級品の抹茶をたっぷりと使う濃茶は大変贅沢な一杯です。
濃茶は濃茶用の茶葉、薄茶はどちらでもよい
濃茶の茶葉
濃茶は食後に飲むお茶とされ、濃茶をいれることを「茶を練る(ねる)」と言い、ネバりがあってツヤツヤした大変濃厚な茶をいただきます。
濃茶は大変濃いお茶ですので、質の低い茶葉を使うと味が渋くなり過ぎるため、香りと甘味のある良い品質のものを選びます。渋みの中に甘味を感じることが出来ます。
濃茶用の茶葉後商品名は、「平安の昔(へいあんのむかし)」「万丈の昔(ばんじょうのむかし)」など、一般的に「昔(むかし)」と付いています。
濃茶用の品質の良い抹茶を薄茶に使うこともあり、薄茶に使用しても甘味のある茶の味を楽しめます。先にお伝えしたように、薄茶用の茶葉(下級の茶葉)を濃茶には使いません。薄茶用の茶葉を濃茶で用いると渋みが強くなり過ぎて飲みにくくなります。
薄茶の茶葉
薄茶は表面の泡(あわ)をたてるように作り、サラサラしています。薄茶は茶事の最後に頂くものです。薄茶の場合は「茶を点てる(たてる)」と言い、薄茶を飲むことを「おうすをいただく」などと言います。
薄茶で使用する抹茶は、濃茶よりも品質が下になり、濃茶で使う抹茶よりも渋い特徴があります。薄茶用の茶葉は、「精華の白」(せいかのしろ)「山月の白」(さんげつのしろ)など、名前に「白」とつくのが一般的です。
カジュアルな茶会は和菓子と薄茶だけで行われ、抹茶の泡と渋みのあるサラサラとした薄茶が甘いお菓子と合います。
濃茶は格の高い無地の茶碗、薄茶はお好みの茶碗を使用する
濃茶は格の高い無地の茶碗。
濃茶は格式の高い正式な茶会とされ、格の高い茶碗を用います。
楽焼(らくやき)、萩焼(はぎやき)、唐津焼(からつやき)、井戸茶碗(いどちゃわん)などが使われ、茶道の世界では古くから格付けとして、1位が楽焼(京都)、2位が萩焼(山口県萩市)、3位が唐津焼(佐賀県唐津市)とされ、「一楽・二萩・三唐津(いちらく・にはぎ・さんからつ)」と言われてきました。
格式高い茶会では「無駄話をつつしむ」こととされ、茶碗も無地のものが使用されます。
また、濃茶の茶会では大きいサイズの茶碗をを使い、ひとつの茶碗で、2~3人が回し飲みをします。濃茶に入れるお湯は熱湯なため、厚みのある茶碗が適しています。
薄茶はお好みの茶碗
薄茶の茶会はカジュアルな茶会とされ、格に縛られず好きな茶碗を選んでよいこととされています。薄茶では絵柄のある茶碗を使ってもよく、会話をしてもかまいません。お茶会では茶碗の柄やその他の道具、お菓子などについても会話がはずみます。
薄茶では、小さめのサイズの茶碗を選び、ひとりが1つの茶碗でお茶をいただきます。薄茶もちいに湯はすこし冷ました湯(80度くらい)になるため、厚みが薄く軽いつくりのものを使用します。
茶筅の穂数・濃茶80本立て・薄茶100本立て
濃茶と薄茶では抹茶を混ぜる茶筅(ちゃせん)も違うものを使います。
一般的な茶せんの穂先の数「穂数(ほすう)」は、「80本立て」と「100本立て」とされています。
濃茶では茶を「練る」ために穂数が少ない80本を、薄茶では抹茶を泡立てるため穂数が多い100本を選びます。
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