根付とは
根付(ねつけ)は、江戸時代(1603年~1868年)に煙草入れや印籠、巾着などを腰の帯に下げて持ち歩く際、腰から滑り落ちないように留め具の役割をしていた道具です。大きさは3~4cm程度で手の中に収まるほど小さいものが一般的で、多くは細密な彫刻が施されています。
モチーフとして人物や動植物、面や七福神など、多岐に渡る題材が取り入れられています。また、根付には提物を下げるため紐を通す穴が必ず空いているのが特徴です。
江戸時代に作られた古い根付は「古根付(こねつけ)」と呼ばれ、その後現代作家によって様々に創作され続けている根付を「現代根付」として区別しています。
制作地域は江戸の他、京都、大阪、名古屋、伊勢、岩見など、それぞれに独自の流派がおこり、根付は材料や技法など様々に工夫されて制作されました。
根付の素材
犀角(さいかく)、ウニコール(一角鯨の角)などの希少性の高い動物の角や、鹿角、象牙や骨に加え、木材では黄楊(つげ)・桜・白檀(びゃくだん)などが使われています。その他、陶磁器や金属など意匠によって様々な素材が使用されています。
根付の種類
- 型彫根付(かたぼりねつけ)
- 饅頭根付(まんじゅうねつけ)
- 柳左根付(りゅうさねつけ)
- 鏡蓋根付(かがみぶたねつけ)
- 面根付(めんねつけ)
- 差根付(さしねつけ)
根付の中で最もよく見られる形状。全体に彫刻が施されている。
平べったい饅頭のような形状。
饅頭根付と同じ形状で、中が透かし彫りになっている。
象牙などで作られた台に金属製の蓋がはめ込まれている。
般若や能面などの面が彫られているもの。
帯に差して使用する根付。10cm~15cm程度の縦長の形状。
根付の変遷
文化文政年間(1804年~1830年)を最盛期として江戸時代に作られた多くの根付は、時代と共に装飾性が高まっていきました。しかし明治時代以降、多くの根付は海外に流出してしまいました。服装の変化による根付の需要低下や、開国による美術品の輸出が要因となっています。そのため日本の根付は海外からの評価でその芸術品や江戸文化としての価値を改めて再認識させられることとなりました。現在でも、コレクターの数は国内よりも海外の方が多いことが現状になっています。
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