硯箱(すずりばこ)
栄匠堂では硯箱を買取り致します。
先代様から譲り受けられた硯箱や、遺品整理で受け継がれた硯箱についても、丁寧な査定の上、買い取らせて頂きます。
蒔絵装飾などが美しいもの、古い時代から伝わる価値のあるものは高値で取引されておりますので、硯箱の売却をお考えのお客様はぜひ栄匠堂へご相談下さい。
硯箱(すずりばこ)とは
平硯箱、重硯箱、浅硯箱などの種類があり、また裏梨子地、表蒔絵、螺鈿、描金などで装飾される美しいものもあります。文台と連作になるものもあり、日本国宝のひとつ、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)作の「舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)」は単独の作品で、甲盛り被せ蓋、蒔絵描金の豪奢な代表とされています。
硯箱(すずりばこ)の種類
平硯箱
蓋が深く、本体を覆うように作られているものが多いです。
シンプルに仕上げられたもの、蒔絵や螺鈿(らでん)が施された豪華なものなど様々な種類があります。平硯箱が重箱のように何段にも重なったものを「重硯箱」と呼びます。
※螺鈿(らでん):装飾技法のひとつ。青貝の殻の内側にある、真珠色に光る部分を様々な形に薄く切り、漆器などの表面にはめこんで装飾したもの。
引き出し付き硯箱
天板に横開きの蓋が付き、下部には引き出しが複数個付いています。天板に持ち運び用の取っ手が付いている物もあります。
シンプルなものの他、意匠箪笥のような大きな金具が付いているものもあり、持ち運びができる小箪笥のような作りをしています。
硯箱の装飾
漆(うるし)塗り
硯箱は木材を使用した漆器が一般的であり、装飾には蒔絵や色鮮やかな貝殻をはめ込む「螺鈿(らでん)」などが施された作品が多く見られます。蒔絵師、漆工家などが多くの硯箱を現在に伝えています。
装飾を施した彫刻装飾
漆仕上げではなく、素材の木地を活かした作品や、「鎌倉彫り」のような彫刻装飾で仕上げた硯箱もあります。
硯箱の木材
古い時代の硯箱は、欅(けやき)、黒柿(くろかき)、紫檀(シタン)、ローズ、オーク、カリンなどの高級な木が使われています。漆塗りの際も、美しい木目を見せる技法「拭き漆」によって仕上げられる作品が数多くあります。
硯箱の歴史
日本では、筆に墨を染み込ませて文字を書くことが一般的となった、奈良時代が起源とされています。時代が進むにつれて硯箱の形状や装飾などに様々な種類が生まれ、他の骨董品同様、美術品としての価値も認められてきました。貴族や武家といった上流階級人々の間で親しまれていたようです。
日本では現在も書道具として生産、使用されており、国宝に指定されている骨董品としての硯箱から、誰にでも手に入る日用品としての硯箱までが揃っています。
平安時代に書かれた源氏物語や枕草子の一節にも、硯箱(「御硯」と表現)が登場していることから、当時から、文字を書く人の側には硯箱があったことが想像されます。
意外に思われるかもしれませんが、元々、毛筆で字を書く文化を持っている中国や朝鮮などのアジア諸国では、硯を箱に収めるという文化はなかったと考えられています。硯箱は蒔絵と同じく、漆器における日本独自の文化と言われています。
日本国宝・重要文化財に指定されている硯箱
国宝
- ■ 舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)
本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)作 - ■ 八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)
尾形光琳(おがたこうりん)作 - ■ 胡蝶蒔絵掛硯箱(こちょうまきえかけすずりばこ)
重要文化財
- □ 嵯峨山蒔絵硯箱(さがやままきえすずりばこ)
- □ 男山蒔絵硯箱(おとこやままきえすずりばこ)
- □ 塩山蒔絵硯箱(しおのやままきえすずりばこ) [京都国立博物館所有]
- □ 塩山蒔絵硯箱[木製漆塗](しおのやままきえすずりばこ)[東京国立博物館]
- □ 蓬莱山蒔絵硯箱(ほうらいさんまきえすずりばこ)
- □ 砧蒔絵硯箱(きぬたまきえすずりばこ)
- □ 初瀬山蒔絵硯箱(はつせやままきえすずりばこ)
- □ 柴垣蔦蒔絵硯箱(しばがきつたまきえすずりばこ)
古満休意(こまきゅうい)作 - □ 蔦細道蒔絵文台硯箱(つたのほそみちまきえぶんだいすずりばこ)
田付長兵衛(たつけちょうべえ)作 - □ 御所車蒔絵硯箱(ごしょぐるままきえすずりばこ)
- □ 芦舟蒔絵硯箱(あしふねまきえすずりばこ)
伝 本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)作 - □ 舞楽蒔絵硯箱(ぶがくまきえすずりばこ)
本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)作 - □ 比良山蒔絵硯箱(ひらさんまきえすずりばこ)
塩見政誠作(しおみせいせい)