日本画とは膠絵具で描く絵画のことを言い、日本の伝統的な技法と様式で描かれた絵画のことを指します。
「日本画」の誕生には中国・朝鮮半島の影響が色濃く、もともと奈良時代や平安時代にかけ渡来した中国・朝鮮半島の絵画の技法と様式を用いて日本で描いた絵を「唐絵」と呼んでいました。そして「唐絵」に対し、同じ技法と様式でありつつ日本的な主題の上で描くようになった絵を「大和絵」と呼んでいました。
その後「日本画」と呼ばれるようになったのは、1870年代に「洋画」がヨーロッパから日本へもたらされた事がきっかけになります。それまで日本で培われてきた図面を「洋画」と区別するために「日本画」という言葉が誕生しました。
明治時代に来日し、東京帝国大学で哲学を教えたアメリカ合衆国のアーネスト・フランシスコ・フェノロサという東洋美術家・哲学者が日本美術を高く評価し、日本画を紹介したのは有名な話で、フェノロサは講演で「日本画」の特徴・優れた点を【陰影がない】【写実を追わない】【輪郭線がある】【色調が濃厚じゃない】【表現が簡潔】と定義し、その際初めて「日本画」という言葉が初めて使われました。
日本画に用いる絵具のことを「岩絵具」と呼び、天然の鉱物質を細かく砕いて使用します。深い青色がでる【群青】は鉱物の石。奥ゆかしさのある【緑青】は孔雀石から。白い色が出る【胡粉】は牡蠣の殻から。自然の産物から頂いた色を絵具として使用してきました。そしてこれらの絵具を膠(にかわ)という接着剤を用いて絵具と練り合わせ、そこに水を加えて和紙に描きやすい濃度にして使用します。使用する筆は基本的には習字で使用する筆とほぼ変わらず、その他に粒子の荒い絵具の時に使用する彩色筆や平筆があります。日本人は毛筆を好んで使い、墨の一筆書きによって日本画は描かれてきました。
まるで本物かのように写実的に描くのが洋画なら、抽象的で印象的な世界を描くのが日本画と言えます。決して派手ではないけれど静かな強さを持つ日本画は、まさに日本のわびさびと言えるでしょう。