人間国宝文化財等

人間国宝(工芸技術・木竹工)

投稿日:2019年4月28日 更新日:

人間国宝(工芸技術・木竹工)
 

竹芸(ちくげい)

生野 祥雲斎(しょうの しょううんさい)

■ 1904(明治37)年9月10日~1974(昭和49)年月日

大分県に生まれ1923年、19歳で佐藤竹邑斎に師事して竹工芸を学びました。1925年、21歳で独立し夢雀斎楽雲と称した後、妙心寺管長の神月徹宗に名付けられた生野祥雲斎を用いるようになりました。1940年の文展「紀元二千六百年奉祝美術展」に初入選して様々な展示会で受賞し、1967年に竹工芸初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

 

竹工芸(ちくこうげい)

飯塚 小玕斎(いいづか しょうかんさい)

■ 1919(大正8)年5月6日~2004(平成16)年9月4日

東京都出身の日本の竹工芸家。栃木市立高等女学校で講師を10年間勤め、父・飯塚琅玕斎に師事し、格調を重んじる制作を学びました。1947年に第3回日展に出品して初入選をはたし、以降多数の展示会で受賞。広く活躍を見せ、1982年に重要無形文化財「竹工芸」保持者に認定され、日本伝統工芸展を中心に後進の指導に励み、伝統技術を後世に伝え、発展に尽力しました。

前田 竹房斎(二代)(まえだ ちくぼうさい)

■ 1917(大正6)年7月7日~2003(昭和51)年3月5日

大阪に生まれ、父の初代竹房斎に学び、竹材の美しさを生かした造形や意匠に独自の工夫をこらした作家です。1972年に日本伝統工芸展東京都知事賞を受賞し、後、1995年に竹工芸で人間国宝に認定されました。

早川 尚古斎(五世)(はやかわ しょうこさい)

■ 1932(昭和7)年6月12日~2011(昭和51)年12月7日

重要無形文化財保持者(竹工芸) 竹工芸家四世早川尚古齋の長男として大阪に生まれ、父のもとで修業しました。早川家に伝わる伝統的な鎧組、そろばん粒形花籃、興福寺形牡丹籃の3種類の形を習得した後に独立が許されました。1965年初めての個展を大阪で開催し、後に展示会などで多くの賞を受賞しました。2003年71歳の時に「竹工芸」の賞を受賞人間国宝に認定されました。

勝城 蒼鳳(かつしろ そうほう)

■ 1934(昭和9)年2月23日~

1949年から竹製農具などの製作にたずさわり、八木沢啓造、斎藤文石に師事しました。1968年に日本伝統工芸展初入選、1983年「波千鳥編盛籠 渓流」での日本伝統工芸展東京都知事賞など受賞を重ねました。2005年に竹工芸で人間国宝に認定されました。

藤沼 昇(ふじぬま のぼる)

■ 1945(昭和20)年6月15日~

1976年から八木沢啓造に師事し、1980年に日本伝統工芸展初入選以来いくつかの展示会で入選。網代編(あじろあみ)や束編(たばねあみ)など多彩な技法を用いた格調高い作品で知られています。2012年に人間国宝に認定されました。

 

木工芸(もっこうげい)

黒田 辰秋(くろだ たつあき)

■ 1904(明治37)年9月21日~1982(昭和57年)年6月4日

漆匠・黒田亀吉の子として生まれ、父に学びました。漆芸制作の分業制に疑問を抱き、一貫制作を志した作家です。刳物・指物などの木工とともに乾漆や螺鈿などの漆芸を駆使して、重厚な独自の作風を確立。1970年に重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)に認定されました。

氷見 晃堂(ひみ こうどう)

■ 1906(明治39)年10月30日~1975(昭和50)年2月28日

石川県金沢市出身の工芸家。父と祖父の考えにより、指物師北島伊三郎に弟子入りして3年間修行し、さらに木工家池田作美に師事して強い影響を受けました。若いころから砂磨き法を研究し1926年に復活させました。1970年に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されました。

大野 昭和斎(おおの しょうわさい)

■ 1912(大正元年)年3月4日~1996(平成8年)年8月30日

父・片岡斎三郎(指物師)に14歳で師事し、指物や象嵌を修行しました。23歳のころ文人画家・柚木玉邨に師事し、絵画を習い、昭和斎と命名されました。作品には桑を好み、他に欅、柿、黄楊木、肥松も使用しました。指物・象嵌の技術に優れ、作品には箱や文机、卓、飾り棚、小箪笥、盛器、香盆、菓子鉢などがあります。箱の四方の直線に線象嵌を用いて指物独特の直線の美しさを見せます。1984年に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されました。

中臺 瑞真(なかだい ずいしん)

■ 1912(大正元)年8月8日~2002(平成14)年4月23日

竹内不山に茶の湯指物を学び、1933年に独立。1962年に日本伝統工芸展に初入選しました。桐材を好み、光沢を生かした刳物(くりもの)に優れた作家です。1984年に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されました。

川北 良造(かわぎた りょうぞう)

■ 1934(昭和9)年9月1日~

石川県の木の挽物の産地に生まれ、木工芸家の父・川北浩一に師事しました。後に氷見晃堂に師事し、挽物の技術に優れ、伝統的で高度な技術を有しています。川北作品は挽物が中心で、一枚の板からロクロで削りだした皿や椀など丸い形のものや、丸く作って辺を切るものなどシンプルなものが多いのが特徴です。欅を中心に桑・楓・黒柿・栃なども使用します。象嵌の技法も取り入れ、拭漆の技法を高め、深みのある作品をつくり、正倉院宝物の復元にも力を注いでいます。1994年に重要無形文化財「木工芸」の保持者に認定されました。

大坂 弘道(おおさか ひろみち)

■ 1937(昭和12)年2月20日~

美術教師をしながら木工製作を独学。34歳から木工芸家本橋玉斎、氷見晃堂、竹内碧外らに師事しました。ほとんどの人間国宝が家業として、あるいは子供のころから修業の道に入り、その道に進んでいるのに比べ、しばらく公立学校教師についていた異例の人間国宝として知られています。唐木指物などの木工画法が得意で華麗な装飾が特徴。複雑な文様の木画にさらに象牙や水晶、金銀などの材料を象嵌した高度な技法を持っています。1997年に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されました。

中川 清司(なかがわ きよつぐ)

■ 1942(明治22)年9月18日~

京都府の桶指物師の家に生まれました。20歳より父・中川亀一に師事し、桶のほかに主要作品として箱などの作品も多く作りました。木の正目をあわせる「柾合わせ」の技法を考案し、指物の高度な技術を用いて、小さな木片を数百から時には千以上つなげ幾何学的で美しい文様を描く木画の技法を得意としています。桶やせいろなどの質の高い日常品の他、芸術作品としての代表作には神代杉をよく用いています。2001年に重要無形文化財「木工芸」の保持者に認定されました。

村山 明(むらやま あきら)

■ 1944(昭和19)年3月25日~

兵庫県出身の木工芸家。大学で彫刻を専攻し、木工芸家・黒田辰秋の長男が同大にいたことが縁で黒田辰秋に師事しました。1970年第17回日本伝統工芸展入賞をきっかけに本格的な木工芸家となり、後に京都府宇治市に工房を構えました。1989年には「欅拭漆盤」がロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館の収蔵品になり、2003年に重要無形文化財「木工芸」保持者に認定されました。刳物(くりもの)を得意とし欅(けやき)を好みます。

灰外 達夫(はいそと たつお)

■ 1941(昭和16)年1月3日~2015(平成27)年3月14日

石川県生まれ。建具製作を学び1971年に建具店を自営しました。1977年から木工芸の創作を開始し、様々な展示会で入選。薄板を環状に曲げる挽曲(ひきまげ)技法に優れ、清楚で気品ある作品を制作。2012年に「木工芸」の分野で人間国宝に認定されました。

須田 賢司(すだ けんじ)

■ 1954(昭和29)年6月27日~

1973年に江戸指物師の父・須田桑翠のもとで木工を学び、1975年に日本伝統工芸展に初入選。以来、工芸家として活躍し、多くの受賞歴を持ちます。2014年に「木工芸」で人間国宝に認定されました。

 

木象嵌(もくぞうがん)

秋山 逸生(あきやま いっせい)

■ 1901(明治34)年9月27日~1988(昭和63)年5月22日

1918年に芝山象嵌師の島田逸山に師事し、後に兄の秋山聴古に木画技法を学び、彫金師桂光春らにも学びました。欅、黒檀、紫檀などの木地を用い、作品には箱が多く、箱の平面にほどこされた文様(木画)は写真製版を貼り付けたかのように繊細で華麗で、高度な技法を有しています。1987年に重要無形文化財「木象嵌」保持者に認定されました。

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