人間国宝文化財等

人間国宝(工芸技術・漆芸)

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人間国宝(工芸技術・漆芸)
 

蒔絵(まきえ)

高野 松山(たかの しょうざん)

■ 1889(明治22)年5月2日~1976(昭和51)年3月5日

熊本県出身の漆芸家。白山松哉に白山派蒔絵を学び、松哉より松山の号を受けました。2代橋本市蔵に竹塗りを学び、1955年に蒔絵の部門で人間国宝に認定されました。代表作に「木地蒔絵蝶文手箱」などがあります。

松田 権六(まつだ ごんろく)

■ 1896(明治29)年4月20日~1986(昭和61)年6月15日

石川県金沢市生まれの蒔絵師。7歳で蒔絵の修業を始め、東京美術学校漆工科を経て1943年に東京美術学校教授に就任し、以後36年間教鞭を取りました。1955年に人間国宝に認定され、伝統工芸の復興に力を尽くす一方で並木製作所の蒔絵万年筆(ダンヒル・ナミキ)の製作指導という新しい蒔絵の模索も行いました。

大場 松魚(おおば しょうぎょ)

■ 1916(大正5)年3月15日~2012年(平成24)年6月21日

父・大場宗秀に10年間学んだ後、松田権六の内弟子となりました。伊勢神宮式年遷宮御神宝「御鏡箱・御太刀鞘、中尊寺金色堂の保存修理(1964年)に従事したことを切っ掛けにして、本格的に平文の技法に取り組みました。1982年に人間国宝に認定され、フランスではクリスタルガラスとの融合など、新しい技法にも取り組みました。

寺井 直次(てらい なおじ)

■ 1912(大正1年)年12月1日~1998(平成10)年3月21日

卵殻を細工して量感や遠近感などの複雑な表現を可能にした他、付着させる漆にも工夫を凝らす技法が有名です。アルミニウムを電解処理し素地を作る金胎漆器の新方式も開拓するなど、さまざまな漆の技法を開拓しました。1985年に重要無形文化財「蒔絵」保持者(人間国宝)に認定されました。

田口 善国(たぐち よしくに)

■ 1923(大正12)年3月1日~1998(平成10)年11月28日

東京麻布区に生まれ、幼少から尾形光琳に魅了され漆芸を志しました。奥村土牛に日本画を学び、漆工史研究者の吉野富雄に古美術を、松田権六からは蒔絵技法を学びました。1989年に重要無形文化財「蒔絵」保持者に認定されました。作品には「平文蒔絵箱」などがあります。

室瀬 和美(むろせ かずみ)

■ 1950(昭和25)年12月26日~

父・室瀬春二、田口善国、松田権六に学び1975年日本伝統工芸展に初入選。他、蒔絵(まきえ)飾箱「麦穂」などでさまざまな賞を受賞しました。国宝「梅蒔絵手箱」の保存修理や復元、正倉院宝物「金銀鈿荘唐大刀」の再現にもあたります。2008年に人間国宝に認定されました。

中野 孝一(なかの こういち)

■ 1947(昭和22)年6月16日~

大場松魚(しょうぎょ)に師事して蒔絵を学び、高蒔絵の技法を得意としています。1971年に「蒔絵やぶでまり箱」で日本伝統工芸展初入選・日本工芸会会長賞を受賞してから、多くの賞を獲得しました。2010年に蒔絵で人間国宝に認定されました。

 

彫漆(ちょうしつ)

音丸 耕堂(おとまる こうどう)

■ 1898(昭和31)年6月15日~1997(平成9)年9月8日

香川県出身の彫漆家。石井磬堂に師事し、玉楮象谷に私淑して独学で学びました。帝展初入選以降、様々な展示会で受賞を重ね、日本工芸会設立後は日本伝統工芸展を中心に作品を発表しました。1955年に「彫漆」で人間国宝に認定されました。

 

沈金(ちんきん)

前 大峰(まえ たいほう)

■ 1890(明治23)年11月10日~1977(昭和52年)年6月8日

輪島塗沈金師(ちんきんし)3代橋本佐助(雪洲)に学びました。1929年帝展に入選し、翌年「沈金遊鯰文手筥」で特選。1955年に人間国宝に認定されました。

前 史雄(まえ ふみお)

■ 1940(昭和15)年8月15日~

漆芸家で前大峰(たいほう)の子。金沢美術工芸大を卒業後、石川県の中学・高校で美術教師を勤めながら、父に輪島塗の沈金(ちんきん)技法を学びました。1968年に日本伝統工芸展に初入選し、さまざまな賞の受賞を得て、1999年に「沈金」で人間国宝に認定されました。沈金漆箱「十六夜(いざよい)」などが有名です。

 

蒟醤(きんま)

磯井 如真(いそい じょしん)

■ 1883(明治16)年3月19日~1964(昭和39)年8月23日

香川県高松市出身の漆芸家。大阪山中商会で中国漆器の修理などに携わり、技術を習得しました。高松に戻り、製法が絶えていた香川漆器を独自研究により復興し近代化を確立しました。1956年に重要無形文化財「蒟醤」の保持者(人間国宝)に認定されました。

磯井 正美(いそい まさみ)

■ 1926(大正15)年6月27日~

人間国宝の父・磯井如真(じょしん)に学び、1957年より日本伝統工芸展で活躍しました。朝日新聞社賞、文部大臣賞を受賞し、蒟醤(きんま)技法の研究を重ねます。1985年「蒟醤」で人間国宝に認定されました。

太田 儔(おおた ひとし)

■ 1931(昭和6)年5月4日~

磯井如真に蒟醤(きんま)の技法を学びました。竹素材にして造形から仕上げまで一貫して制作し、1965年に日本伝統工芸展に初入選しました。文部大臣賞を受賞などを経て1994年「蒟醤」で人間国宝に認定されました。

山下 義人(やました よしと)

■ 1951(昭和26)年9月21日~

磯井正美に蒟醤(きんま)を、田口善国に蒔絵を学びました。1977年に日本伝統工芸展に初入選しました。香川県漆芸研究所工芸指導員となり、さまざまな賞を受賞し、2013年人間国宝に認定されました。

 

髹漆(きゅうしつ)

赤地 友哉(あかじ ゆうさい)

■ 1906(明治39)年1月24日~1984(昭和59)年6月30日

石川県出身、檜物(ひもの)師の過程に生まれました。新保幸次郎、渡辺喜三郎に髹漆(きゅうしつ-漆塗り)を学び、1967年「曲輪造平棗(まげわづくりひらなつめ)」で芸術選奨。1974年人間国宝に認定されました。代表作に「曲輪造彩漆鉢」などがあります。

増村 益城(ますむら ましき)

■ 1910(明治43)年7月1日~1996(平成8)年4月20日

赤地友哉(ゆうさい)に師事し、実在工芸展、日本漆芸院展、日展、日本伝統工芸展で活躍しました。乾漆や髹漆(きゅうしつ)に優れ、1978年に髹漆で人間国宝に認定されました。「乾漆盛器」などの作品が有名です。

塩多 慶四郎(しおた けいしろう)

■ 1926(大正15)年1月17日~2006(平成18)年9月24日

3歳のときに母の実家である塩多家(三代続く輪島塗塗師)の養子に入りました。養父・塩多政のもとで輪島塗の修行を始め、26歳のときに輪島へ帰郷して塩多漆器店四代目を継ぎ、本格的に輪島塗に携わり始めました。勝田静璋について蒔絵を学び、多数の賞を受賞後、1995年「髹漆」にて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。石川県立輪島漆芸技術研究所主任講師に就任し後進の指導に力を注ぎました。

大西 勲(おおにし いさお)

■ 1944(昭和19年)年6月30日~

鎌倉彫を学んだ後に人間国宝の赤地友哉に師事して曲輪造(まげわづくり)を主とする髹漆(きゅうしつ-漆塗り)の技法を習得しました。石川県立輪島漆芸技術研究所で長年指導を行いながら技法の伝承にも尽力しました。2002年に髹漆(きゅうしつ)で人間国宝に認定されました。

小森 邦衞(こもり くにえ)

■ 1945(昭和20)年2月18日~

石川県輪島市出身の漆芸家。樽見幸作に沈金を学び、石川県立輪島漆芸技術研修所で赤地友哉から曲輪造(まげわづくり)を、太田儔から籃胎(らんたい)を学びました。竹を編んだ文様と漆の塗りぼかしを組み合わせた作品で、日本伝統工芸展などで受賞を重ねました。2006年に髹漆(きゅうしつ-漆塗り)で人間国宝認定されました。

増村 紀一郎(ますむら きいちろう)

■ 1941(昭和16)年12月1日~

父・増村益城に乾漆(かんしつ)、縄胎(じょうたい)などの伝統的な髹漆(きゅうしつ)技能を学びました。1969年に日本伝統工芸展初入選し、1979年「朱塗提盤(しゅぬりさげばん)」で日本伝統工芸展日本工芸会会長賞を受賞しました。2008年に人間国宝に認定されました。

 

螺鈿(らでん)

北村 昭斎()

■ 1938(昭和13)年1月19日~

奈良県出身の漆芸家。父・北村大通に師事し、漆芸技法や漆工品の保存修理を学びました。文化財の修理、復元にたずさわる一方で漆芸作家として活躍しました。1999年に人間国宝に認定され、その後奈良女子短大助教授を勤めました。「華菱文玳瑁(はなびしもんたいまい)螺鈿箱」などの作品があります。

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