人間国宝文化財等

人間国宝(工芸技術・陶芸)

投稿日:2019年3月8日 更新日:

 

色絵磁器

富本 憲吉(とみもと けんきち)

■ 1886(明治19)年6月5日~1963(昭和38)年6月8日

日本の陶芸家。人間国宝、文化勲章受章者。1949年に京都市立美術大学教授となり、1955年(昭和30年)2月15日には重要無形文化財「色絵磁器」保持者として人間国宝に認定されました。文化財保護法改正によって新設された重要無形文化財の保持者認定制度発足後、最初に認定された人間国宝の一人です。

加藤 土師萌(かとう はじめ)

■ 1900(明治33)年3月7日~1968(昭和43)年9月25日

日本の陶芸家。本名は一(はじめ)。1961年4月27日に重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定されました。1966年に日本工芸会理事長に就任し、文化財保護審議会専門委員等を歴任。1967年に東京藝術大学名誉教授となり、同年に紫綬褒章を受章しています。

藤本 能道(ふじもと よしみち)

■ 1919(大正8)年1月10日~1992(平成4)年5月16日

日本の陶芸家。1938年には富本憲吉の助手を務めながら、九谷焼などの色絵磁器の技法を習得しました。1986年4月28日に重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定されました。東京芸術大学教授を経て、1985年から5年間は学長を務めました。

今泉今右衛門(十三代)(いまいずみ いまえもん)

■ 1926(大正15)年1月10日~2001(平成13)年10月13日

日本の陶芸家。有田工業学校、東京美術学校工芸科を経て昭和24年に帰郷し、家業の「今右衛門窯」に従事しました。創作的な色鍋島の制作に取り組み、現代の角度からの色鍋島の研究を続け、平成元年に重要無形文化財「色絵磁器」保持者の認定を受けました。

酒井田柿右衛門(十四代)(さかいだ かきえもん)

■ 1934(昭和9)年8月26日~2013(平成25)年6月15日

絵付けの基礎を会得するため多摩美術大学日本画科で日本画を学び、卒業後帰郷して父親に弟子入り。1983年にはアメリカ合衆国でのイベントに出品し、サンフランシスコ市長から名誉市民号を贈られ、海外でも高い評価を受けるようになりました。2001年に重要無形文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定されました。

今泉今右衛門(十四代)(いまいずみ いまえもん)

■ 1962(昭和37)年1月10日~

日本の陶芸家。2014年に有田陶芸協会会長に就任し、同年、重要無形文化財「色絵磁器」の保持者に認定されました。白の繊細に扱った「雪花墨はじき」、周囲の光を取り込む上絵「プラチナ彩」への挑戦の他、色鍋島の品格と風格を追求しています。

 

鉄釉陶器

石黒 宗麿(いしぐろ むねまろ)

■ 1893(明治26)年4月14日~1968(昭和43)年6月3日

富山県出身の陶芸家。1918年に中国宋の時代の陶器である曜変天目に惹かれて陶芸家を志しました。1936年に京都市左京区八瀬で窯を開き、多くの作品を残しています。1955年に初の人間国宝の一人に認定され、新湊市名誉市民に推挙されました。作品の多くは富山県射水市新湊博物館に収蔵されています。

清水 卯一(しみず ういち)

■ 1926(大正15)年3月5日~2004(平成16)年2月18日

京焼陶磁器卸問屋を営む生家の長男として誕生しました。1947年に前衛陶芸家集団「四耕会」の結成に参加したほか、1949年には「緑陶会」「京都陶芸家クラブ」などの結成にも参加し、1957年より日本工芸会正会員となりました。1958年開催のブリュッセル万国博覧会にてグランプリを獲得し日本国外でも高い評価を得ました。1985年、石黒宗麿に続く重要無形文化財「鉄釉陶器」の人間国宝に認定されました。

原清(はら きよし)

■ 1936(昭和11)年2月28日~

1954年に京都で石黒宗麿の内弟子となった後、清水卯一に師事し陶芸を学びました。1965年に独立し東京都に工房を構え、後に埼玉県に移ります。鉄釉について独自の研究を続け、黒色と褐色の二種類の釉薬を駆使し大柄な色面で文様を描く、細かな技巧に頼らない作風で、鉄釉陶器の新しい発展性が高く評価されています。2005年重要無形文化財「鉄釉陶器」保持者に認定されました。

 

民芸陶器

濱田 庄司(はまだ しょうじ)

■ 1894(明治27)年12月9日~1978(昭和53)年1月5日

1920年イギリスに帰国するリーチと共同でコーンウォール州セント・アイヴスに築窯しました。1924年に帰国し、沖縄・壺屋窯などで学び、その後深い関心を寄せていた益子焼の産地、栃木県益子町で作陶を開始しました。1955年に第1回の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、1964年に紫綬褒章、1968年には文化勲章を受章。
1970年大阪万博の日本民芸館パビリオンの名誉館長を経て、1972年大阪日本民藝館の初代館長に就任しました。

 

志野

荒川 豊蔵(あらかわ とよぞう)

■ 1894(明治27)年3月21日~1985(昭和60)年8月11日

昭和を代表する美濃焼の陶芸家。桃山時代の志野に陶芸の原点を求め、滋賀県の大萱(おおがや)に桃山時代の古窯を模した半地上式穴窯を築き、古志野の再現を目指して作陶を重ねました。後に「荒川志野」と呼ばれる独自の境地を確立。1955年に志野と瀬戸黒で人間国宝に認定されました。

鈴木 藏(すずき おさむ)

■ 1934(昭和9)年12月1日~

美濃焼の産地、岐阜県土岐市出身の陶芸家。陶土や釉薬について学び、基礎知識を身につけた後に荒川豊蔵や加藤土師萌などに師事しました。桃山時代から継承されてきた陶芸技法「志野」の研究に励み、技法を体得しました。1994年に重要無形文化財「志野」の保持者に認定されました。

 

瀬戸黒

荒川 豊蔵(あらかわ とよぞう)

※「志野」同じ

加藤 孝造(かとう こうぞう)

■ 1935(昭和10)年3月12日~

1951年岐阜県陶磁器試験場にはいり、五代・加藤幸兵衛に学びます。1970年多治見市に穴窯を築き独立し、同年荒川豊蔵に師として仕えます。1991年に志野・瀬戸黒の技法で多治見市無形文化財保持者に認定。2010年、瀬戸黒で2人目の人間国宝に認定されました。

 

萩焼

三輪 休和(みわ きゅうわ)(十代 三輪休雪)

■ 1895(明治28)年4月20日 – 1981年10月24日

山口県萩市、江戸時代初期から萩藩の御用窯として代々萩焼を継承していた三輪窯の次男として生まれました。八代雪山(祖父)、九代雪堂(父)に師事し、作陶への道を進みました。1927年に雪堂の隠居により十代休雪を襲名。1967年に紫綬褒章を受章し、1970年に重要無形文化財「萩焼」保持者に認定されました。

三輪 壽雪(みわ じゅせつ)(十一代 三輪休雪)

■ 1910(明治43)年2月4日~2012(平成24)年12月11日

旧萩藩御用窯・三輪窯の九代休雪、三輪雪堂の三男として誕生しました。中学卒業後、兄・十代休雪(隠居後は休和)を助けながら伝統技法を学びました。1967年に(兄の休雪の隠居後)、三輪窯を受け継ぎ十一代休雪を襲名します。1976年紫綬褒章を、1982年には勲四等瑞宝章を受章し、1983年に重要無形文化財「萩焼」保持者に認定されました。

 

備前焼

金重 陶陽(かねしげ とうよう)

■ 1896(明治29)年1月3日~1967(昭和42)年11月6日

岡山県出身の陶芸家。本名は勇(いさむ)。江戸時代中期以降、伊万里焼や九谷焼などの人気に押されて備前焼を再興させ、「備前焼中興の祖」と称されています。自らが優れた陶工であっただけでなく、多くの弟子を育てるなど、備前焼に果たした功績は計り知れません。1956年に備前焼の陶工として初めて人間国宝に認定されました。

藤原 啓(ふじわら けい)

■ 1899(明治32)年2月28日~1983(昭和58)年11月12日

日本の陶芸家。本名は敬二。1938年に三村梅景に師事し、備前陶芸の道を歩み始める。40歳という遅いスタートではあるものの、桃山古備前の技法を基礎にしながら、窯の中での自然の変容を生かした近代的な造形で有名です。素朴で大らかな作品が古くから受け継がれた備前焼の新たな展開を示し、後進へ大きな影響を与え、1970年に人間国宝に認定されました。

山本 陶秀(やまもと とうしゅう)

■ 1906(明治39)年4月24日~1994(平成6)年4月22日

1921年に陶芸をはじめ、1933年に作家として独立しました。伊勢神宮、スペイン国王、皇室などに作品を献上し、1987年には国の重要無形文化財「備前焼」保持者に認定されました。その後、1991年に備前市名誉市民に選ばれました。

藤原 雄(ふじわら ゆう)

■ 1932(昭和7)年6月10日~2001(平成13)年10月29日

岡山県備前市出身。備前焼の伝統を重んじながらも、新しい感性に溢れた作品を作り続けました。「焼き締め陶公募展」で実行委員長を務め、後進の発掘と育成にも力を注いだ陶芸家です。
1996年に重要無形文化財「備前焼」保持者に認定されました。

伊勢崎 淳(いせさき じゅん)

■ 1936(昭和11)年2月20日~

1960年に兄・伊勢﨑満とともに、姑耶山古窯跡に中世の半地下式穴窯を復元しました。1966年に日本工芸会正会員となり、1978年に岡山大学特設美術科講師に就任。1998年岡山県重要無形文化財保持者に認定され、2004年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

 

唐津焼

中里 無庵(なかざと むあん)

■ 1895(明治28)4月11日~1985(昭和60)年1月5日

中里天祐(十一代・中里太郎右衛門)の次男として佐賀県唐津に生まれました。1927年に(実父の没後)十二代・中里太郎右衛門を襲名しました。古窯址(こようし)や陶片資料の研究に励み、古唐津の伝統を復興します。伝統技法を現代茶陶に生かした叩き技法などの独自の作風を生み出しました。1976年に重要無形文化財「唐津焼」保持者に認定されました。

 

染付

近藤 悠三(こんどう ゆうぞう)

■ 1902(明治35)年2月8日~1985(昭和60)年2月25日

日本の陶芸家。本名は雄三。1924年に関西美術院洋画研究所でデッサンや洋画の研究をしながら、清水新道石段下(京都)に窯を構え制作を始めました。この頃は染付の他に釉裏紅や象嵌等の技法も用いた作品を発表しています。1956年には岐阜県多治見市にて志野焼の研究を行い、以降は染付の制作に専念しました。つけたてとぼかしを基調とした筆遣いによって濃淡を表して絵画的な表現をなしています。1977年に重要無形文化財「染付」の保持者に認定され、1980年紺綬褒章を受章しています。

 

白磁・青白磁

塚本 快示(つかもと かいじ)

■ 1912(大正1)年12月14日~1990(平成2)年6月10日

クラフト風な磁器の制作をしながら中国陶磁の研究に励んだ陶芸家です。主に、中国・北宋時代の白磁や青白磁、北宋時代の「影青(いんちん)」を模範としました。特に白磁胎がまだ乾ききらないうちに鋼や竹のヘラで刻まれる片切り模様の精緻さは名高く、その技術は日本だけでなく中国の陶磁界でも高い評価を得ています。1983年に「白磁」「青白磁」で人間国宝に認定されました。

 

琉球陶器

金城 次郎(きんじょう じろう)

■ 1912(大正元)年12月3日~2004(平成16)年12月24日

那覇市生まれの陶芸家で1925年に新垣栄徳の製陶所に入門し、壷屋の製陶に従事しました。1946年那覇市壺屋に築窯して濱田庄司、河井寛次郎らの指導の元で壺屋焼を守り発展に努めました。1958年には「魚紋大皿」と「抱瓶」がルーマニア国立民芸博物館に永久保存となっています。1985年に「琉球陶器」で沖縄県初の人間国宝に認定され、沖縄県功労章を受章しました。

 

鉄絵

田村 耕一(たむら こういち)

■ 1918(大正7)年6月21日~1987(昭和62)年1月3日

1953年に郷里の栃木県佐野に築窯し、日本伝統工芸展などで活躍しました。鉄絵の技法を基本にした独自の作風で、イスタンブール国際陶芸展グランプリなど国内外の受賞歴を多数持っています。1976年に母校東京芸大の教授に就任。1986年に国指定重要無形文化財(鉄絵)保持者に認定されました。

 

練上手(ねりあげで)

松井 康成(まつい こうせい)

■ 1927(昭和2)年5月20日~2003(平成15)年4月11日

本名は美明。 練上手(ねりあげで)という技法を集大成し、伝統技術を基盤にした現代の個性豊かな陶芸のあり方を提示しました。1988年紫綬褒章を受章し、1993年に重要無形文化財保持者に認定されました。

 

白磁

井上 萬二(いのうえ まんじ)

■ 1929(昭和4)年3月24日~

1945年に父親の勧めで十三代目・酒井田柿右衛門の元で働き始めました。1952年頃に奥川忠右衛門の門下生となり、白磁や轆轤の技法を学びました。県立有田窯業試験場の技官として勤務しながら独自の意匠や釉薬の研究に励みました。1995年に重要無形文化財「白磁」保持者に認定されました。

前田 昭博(まえた あきひろ)

■ 1954(昭和29)年5月1日~

鳥取県出身の陶芸家、白磁作家です。白磁の美しさに魅了され、大阪芸術大学工芸家陶芸専攻を卒業した後は、地元に戻って焼き物を始めて独学で技術を磨きました。2007年に紫綬褒章を受章し、2012年に鳥取県指定無形文化財(陶芸)に認定、2013年に「白磁」で人間国宝に認定されました。

 

三彩

加藤 卓男(かとう たくお)

■ 1917(大正6)年9月12日~2005(平成17)年1月11日

岐阜県出身の陶芸家。ラスター彩、青釉、奈良三彩、ペルシア色絵、正倉院三彩などを再現しました。1965年にフィンランド工芸美術学校に留学し、そこからイランの窯址を訪ねペルシャ陶器の研究に尽力しました。1988年紫綬褒章を受章し、1995年に重要無形文化財「三彩」保持者に認定されました。

 

民芸陶器(縄文象嵌 じょうもんぞうがん)

島岡 達三(しまおか たつぞう)

■ 1919(大正8)年10月27日~2007(平成19)年12月11日

東京都出身の陶芸家。1946年に浜田庄司に師事しました。1953年に益子に住居と窯を築いて独立し、1960年頃から縄文象嵌技法を始めました。1994年に日本陶磁協会賞金賞を受賞し、1996年に「民芸陶器(縄文象嵌)」の人間国宝に認定されました。

 

青磁

三浦 小平二(みうら こへいじ)

■ 1933(昭和8)年3月21日年~2006(平成18年)年10月3日

中近東・東アフリカ・中国・モンゴルなどの各国を巡り、磁器の研究や制作に励みました。特に古代中国の皇室御用達であった国営陶磁器製作所が生み出す南宋官窯に影響を受け、研究を重ねました。佐渡の朱色の土を下地とした器に青磁釉をかけるという独特な技法を開発し、その他新しい様々な技法で国際的な評価も高い作家です。1996年には紫綬褒章を受章し、1997年に重要無形文化財「青磁」保持者に認定されました。

 

彩釉磁器

徳田 八十吉(とくだ やそきち)(三代)

■ 1933(昭和8)年11月20日~2009(平成21年)年8月26日

三代・徳田八十吉は、従来の九谷焼のように、絵柄ではなく、色の配色のみで作品を仕上げる特徴があります。約70色を使い分けて色の濃淡やグラデーションで作品を仕上げる技法「彩釉(さいゆう)」を生み出しました。1997年年に重要無形文化財「彩釉磁器」保持者(人間国宝)に認定されました。

 

常滑焼(急須)(とこなめやき)

山田 常山(やまだ じょうざん)(三代)

■ 1933(昭和8)年11月20日~2009(平成21年)年8月26日

本名は稔。少年の頃より名工・初代山田常山に陶技を学び、1947年頃から父の号「小常山」を名乗り、没後に三代常山となりました。古典的なものからモダンなものまで100種類以上の形があるといわれます。1994年に朱泥急須で愛知県指定無形文化財保持者に、1998年には常滑焼(急須)で愛知県初の人間国宝に認定され、常滑焼1,000年の伝統を受け継いでいます。

 

釉裏金彩(ゆうりきんさい)

吉田 美統(よした みのり)

■ 1932(明治65)年7月7日~

生家は作陶を生業とし、九谷焼独特の赤絵金襴手(きんらんで)を継承していました。高校在学中から陶芸技法を学び始め、1951年に家業である錦山窯の三代目となり、九谷の伝統的な絵付け等の技法を習得しました。釉裏金彩の第一人者として2001年に重要無形文化財保持者に認定され、同年紫綬褒章を受章しました。

 

無名異焼(むみょういやき)

伊藤 赤水(よした みのり)(五代)

■ 1941(昭和16)年6月24日~

本名は窯一。1966年から三代である祖父に師事し無名異焼の技術を学びました。1972年に日本伝統工芸展に入選。以降、日本陶芸展、伝統工芸新作展等に入選し、1976年に五代赤水を襲名しました。2003年に工芸技術としての「無名異焼」が重要無形文化財に指定され、その保持者(人間国宝)として認定されました。色の違う土を重ね巻き、輪切りにした断面を並べて皿や壺の形を作る「練り上げ」という技法を用い、独特な縞模様や花紋が特徴的です。

 

小石原焼(こいしわらやき)

福島 善三(ふくしま ぜんぞう)(十六代)

■ 1959(昭和34)年~

地元で採れる材料にこだわり、無駄なものを削ぎ落とした独自の形と美しい釉薬とが組み合わされ、オリジナルの作品を生み出しています。試行錯誤の末に完成させた「中野月白瓷(なかの げっぱくじ)」「鈞窯(きんよう)」の作品群は高い評価を得ています。2017年に重要無形文化財「小石原焼」保持者に認定されました。

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