千家十職の一つ「土風炉・焼物師」善五郎のご紹介

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今回は、土風炉・焼物師の家元「永楽善五郎」(えいらくぜんごろう)です。

善五郎は京焼の家元のひとつで、千家十職の一つ「土風炉・焼物師」として代々土風炉（どぶろ）や茶碗などを製作してきました。初代から9代は西村姓を名乗り、主に土風炉を製作、10代以降は永樂（えいらく）姓を名乗り、土風炉の他、茶陶を制作しています。善五郎の土風炉は素焼きの器に黒漆を重ね塗りしたものや、土器の表面を磨いたものなどがあります。
初代宗禅（室町時代）は「西京西村」（奈良）に住んで春日大社の供御器を作り、西村姓を名乗っていました。晩年に堺の武野紹鴎の依頼で土風炉を作るようになり、土風炉師・善五郎を名乗るようになります。宗善（二代）は堺に、宗全（三代）以降は京都で活動します。小堀遠州の用命を受けた際に「宗全」の銅印をもらったことから、以後九代まで作品に宗全印を捺用しました。

1788年に京都で起こった天明の大火で家屋敷や印章を失ってしまいましたが、三千家の援助もあり（十代）了全が再興しました。また、了全以降に千家に出入りするようになったと伝えられています。千家十職には茶碗を作る樂吉左衛門がいますが、善五郎は主に伝世品の写しなどを創作し、楽焼のみの樂家とは違うものとされています。保全（十一代）は1827年に、紀州藩十代藩主徳川治寶の別邸西浜御殿の御庭焼開窯に招かれ、作品を賞して「河濱支流（かひんしりゅう）」の金印「永樂」の銀印を授かりました。以降「永樂」の印章を用い、和全（十二代）以降永樂姓を名乗りました。（さかのぼって了全と保全も永樂の名で呼ばれています。）