筆(ふで)・毛筆(もうひつ)
栄匠堂では筆(ふで)・毛筆(もうひつ)を買取致します。
毛筆の材料は実にさまざまな種類があり、馬、羊、狸、イタチ、猫、孔雀などがあります。
筆管(ひっかん―筆の柄の部分)は竹、象牙、玉管などで作られているものがあり、筆の硬さや長さによってそれぞれ呼び方も違い、太さにより号数が決まります。
筆の硬さは「剛毛」「兼毛」「柔毛」、筆の長さは「長鋒」「短鋒」「中鋒」と、筆の状態で呼び名が変わります。また、筆の穂先を固めた筆を「固め筆」固めていない筆を「さばき筆」と言います。
穂先まで麩糊で固めた固め筆と固めていない捌き筆に分けられており、書体や風合いなどに合った筆を使い分けられます。
材料や混ぜ方で何通りにも作り出せるため、毛筆専門のコレクターになる方も少なくありません。
一休園、玉川堂、あかしや、菊壽堂、金鐘牌、上海楊振華、善璉湖筆、上海工芸、蘇州湖筆、老文元製、などといった名店の高級品も買取致します。
筆の査定ポイント
筆は先を墨にひたして紙などに接して使用するため、毛先が痛み、劣化していく消耗品です。骨董品としては、毛そのもの以上に筆管に貴重な素材が使われているもの(高級竹、象牙、玉管など)や珍しい素材で作られているものに価値があるとされ、凝った意匠が施されているものが高価で取引されます。
特に中国製の毛筆には非常に凝った作りの筆管があり、骨董品としての価値は高くなりますが、装飾に重きを置いて制作されたものは、握りにくさ重さなどから判断すると実用的とは言えません。
現在の実用的な筆は、量産するために毛の品質や筆管を軽量化し、握りやすさなどが改良され、骨董品としての価値はあまりないものが多くなりました。
筆の起源と歴史
筆の文化は、秦の時代(紀元前221~207年)に、武将であった蒙恬(もうてん)が兎毫(とごう-筆のこと)を作り始皇帝に献上したことが始まりだといわれています。
しかし、筆のようなものが作られはじめたのは、それよりももっと前の紀元前2500年頃からという説もあり、殷代あるいはそれ以前から筆があったと言われています。
筆作り技術の発展
現在確認できる最古の筆は、湖南省長沙近郊の左家公山で発掘された戦国時代の楚(紀元前11世紀~前223)の遺跡から発見された兎毫の筆とされています。長さ約16cm、細い管の一端を裂いて兎の毛を挟み、糸でくくりつけられて、漆(うるし)で固められており、「長沙筆(ちょうさふで)」と呼ばれています。
漢代の木簡とともに発見された「居延筆(きょうえんひつ)」は、前75~57年頃作られた約21cmの筆です。木軸の一端を四つ割にした後、1.4cm程の穂を差し込み、2か所を麻と思われる糸で縛り、漆で根元を固めて作られています。
毛の種類は解明されていませんが、筆としての完成度が高く、現在の筆に近い形です。
日本での発展
日本では仏教が盛んになった奈良時代に「写経」が広まり、筆の需要が高まり日本の各地で筆の生産が始まりました。
平安時代には生産量が増え、書の名人としても名高い「空海(くうかい)」が、中国から持ち帰った最新の技法で筆匠に筆を作らせ、朝廷に献上しました。
江戸時代には教育が普及し、読み書きをするための筆も一般に広がりました。一方、上流階級が使用する高級筆の製作も行われ、貴重な素材、さらに多くの動物の毛が使われ、高い技術で筆が作られるようになりました。